ChatGPTで提案書を作る方法|実務で使える5ステップ
ChatGPTに「提案書を作って」と頼んでも、一般論を並べただけの文章になりがちです。原因は、指示文の短さだけではありません。顧客の状況や提案の目的を整理せず、一度に完成品を求めていることにもあります。本記事では、情報を安全に仕分け、課題整理・骨子・本文・反論レビューへ順に進む5ステップを紹介します。入力シート、工程別プロンプト、提出前チェックを使い、ChatGPTの出力を顧客へ提出できるたたき台に変える方法が分かります。
- 01ChatGPTは提案書の「完成品」ではなく「たたき台」に使う。整理・草案・反論洗い出しはAI、顧客理解・裏取り・最終承認は人が担う。
- 02入力前に商談情報を「入力してよい/匿名化して入力/入力しない」の3つに仕分ける。社名を消しても特定される点に注意する。
- 03一括生成しない。課題整理→骨子→本文→反論レビュー→検収の順に、各工程で人が確認してから次へ渡す。
- 04提出可否は感覚で決めず、顧客固有性・根拠・実行可能性・次の行動の4項目で判定する。
ChatGPTは提案書の「完成」ではなく「たたき台」に使う
ChatGPTに「提案書を作って」と頼むと、どの会社にも当てはまる一般論が並びます。原因は指示文の短さだけではありません。顧客の状況や提案の狙いを整理しないまま、一度に完成品を求めていることにあります。
提案書は、顧客に意思決定を促す文書です。誰が、何を、いつまでに決めるのかを動かすために作ります。その判断材料は顧客ごとに違うため、外から補えない情報を含みます。ここをChatGPTに肩代わりさせると、それらしい体裁の割に中身の薄い文章になります。
そこで、提案書づくりを「ChatGPTに任せる仕事」と「人が担う仕事」に分けます。ChatGPTが得意なのは、散らばった商談メモの整理、章立ての骨子、文章の初稿、想定される反論の洗い出しです。人が担うのは、顧客固有の事情の解釈、事実や数値の裏取り、そして提出可否の最終承認です。この線引きをせずに使うと、確認されないまま架空の根拠が資料に載ります。
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| 工程 | ChatGPTに任せる | 人が担う |
|---|---|---|
| 情報整理 | 商談メモの分類・要約、抜けの指摘 | どの情報を入力してよいかの判断 |
| 骨子づくり | 課題→解決策→根拠→計画の並べ替え | 顧客固有の課題仮説の決定 |
| 本文作成 | 各章の文章の初稿 | 事実・数値・事例の裏取り |
| 反論対策 | 想定される反論の列挙 | 反論への回答の妥当性判断 |
| 提出 | ― | 最終承認と社外への提出 |
本記事は、この役割分担を前提に、提案書のたたき台を安全に仕上げる手順を示します。ChatGPTの一般的な使い方全体は「ChatGPTの営業活用法|プロンプトと安全な始め方」でも整理しています。
入力前に商談情報を3つに仕分ける
提案書の質は、ChatGPTに何を渡すかで決まります。ただし、渡してよい情報と渡してはいけない情報があります。ここを曖昧にしたまま商談メモを丸ごと貼り付けると、情報管理の事故につながります。
注意したいのは、顧客名を伏せても案件を特定できる場合があることです。業界・規模・地域・担当者の役職・独自の取り組みが重なると、名前がなくても「どこの話か」が絞り込めます。匿名化とは名前を消すことではなく、特定につながる手がかりを外すことです。
そこで、入力前に商談情報を3つに仕分けます。
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| 区分 | 具体例 | 扱い方 |
|---|---|---|
| 入力してよい | 一般的な業界課題、公開されている製品仕様、汎用の営業フレーム | そのまま入力する |
| 匿名化して入力 | 顧客の課題内容、商談で聞いた要望、社名が推測される背景 | 会社の規定に従って匿名化する(例:社名・固有名詞を伏せる、規模や業界は幅を持たせる) |
| 入力しない | 個人情報、未公開の価格、契約条件、社内の認証情報 | ChatGPTに渡さず、人が直接書く |
判断に迷ったら、その情報が外部に出ても問題ないかを基準にします。「入力しない」に該当する情報は、骨子や文章ができたあとに、人が資料へ直接書き足します。
OpenAIのTemporary Chatは、履歴やメモリに残らず学習にも使われず、安全上の目的で30日間保持されたあと削除される仕組みです(出典:OpenAI「How ChatGPT protects your privacy」)。ただし、これだけで社内規程を満たすとは限りません。顧客情報を扱う提案書では、まず自社の情報管理ルールと利用プランの学習利用条件を確認し、そのうえで上の3区分に沿って入力の可否を決めます。
提案書の材料を6項目の入力シートにまとめる
仕分けを終えたら、提案書の材料を6項目の入力シートにまとめます。ChatGPTに整った情報を渡すほど、出力は具体的になります。逆に、材料が足りないまま生成させると、AIが不足を勝手に埋めて、事実と推測が混ざった文章になります。
埋める項目は次の6つです。
- 提案先
- 業界・規模・事業内容。社名が推測されない範囲で書く
- 意思決定者
- 最終的に決裁する人の役割と、その人が気にする論点
- 現状
- 相手が今どうしているか。使っている手段や体制
- 課題
- 現状で相手が困っていること。商談で相手が口にした言葉に近い形で
- 制約
- 予算・期限・体制・既存システムなど、提案を縛る条件
- 決めてほしいこと
- この提案書で相手に取ってほしい次の行動
この6項目のうち、埋められない欄が出ることがあります。そのとき大切なのは、空欄をChatGPTに推測させないことです。プロンプトに「不明な項目は推測せず『要確認』と返してください」と添えると、AIが勝手に作った情報が混ざりません。要確認と返ってきた欄は、次の商談で聞く質問リストになります。
提案の前提となる顧客仮説そのものの立て方は、「商談準備をAIで効率化する方法|仮説と質問の作り方」で詳しく扱っています。入力シートに書く「課題」を、確認済みの事実と仮説に分けておくと、あとの裏取りが楽になります。
入力シートが埋まったかを、次の観点で点検します。
- 提案先が、社名を伏せても提案内容を判断できる粒度で書けている
- 意思決定者の役割と関心事が特定できている
- 課題が、相手の言葉に近い具体的な表現になっている
- 制約(予算・期限・体制)のうち分かる範囲を書けている
- 相手に決めてほしい次の行動が一文で書けている
5ステップで骨子から提出前レビューまで進める
材料がそろったら、5つのステップで進めます。ここでの要点は、一度に完成品を求めないことです。ヒアリングの整理から反論レビューまでを分け、各ステップで人が確認してから次に渡します。前工程の合意が次工程の入力になるので、途中でずれても早く気づけます。
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STEP01
入力シートから顧客課題を整理する
「次の入力シートをもとに、この顧客が抱える課題を重要度順に3つに整理してください。事実と推測を分け、推測には『仮説』と付けてください」と指示します。出力後、人は課題の順位と、仮説とされた部分の妥当性を確認します。
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STEP02
骨子を作る
「整理した課題をもとに、提案書の骨子を『課題→解決策→根拠→実行計画→次の行動』の順で作ってください。各章は見出しと要点のみ、本文は書かないでください」と指示します。人は、章の流れが顧客の意思決定の順序に合っているかを確認します。
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STEP03
章ごとに本文を作る
骨子を一括で本文化せず、章を一つずつ渡します。「この章の要点をもとに、本文を作ってください。数値や事例が必要な箇所は空欄にし、『要確認』と示してください」と指示します。人は、要確認の箇所を裏取りして埋めます。
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STEP04
顧客側の反論を洗い出す
「この提案に対し、意思決定者が出しそうな反論・懸念を5つ挙げ、それぞれに現時点で答えられる範囲の回答案を付けてください」と指示します。人は、回答案の根拠が事実に基づくかを確認し、弱い部分を提案書に反映します。
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STEP05
人が検収してスライド化する
文章のたたき台が固まったら、提出可否を人が判定します(次章)。判定を通ったら、スライドや配布資料の形に整えます。提案書の内容をスライドへ落とす手順は「プレゼン資料をAIで作る方法|提案に使える5ステップ」で扱っています。本記事は、その前段の文章設計に集中します。
STEP1からSTEP5までを一つの長いプロンプトで一括生成すると、どこでずれたかが分からず、全体を作り直すことになります。各ステップで前工程の承認結果を次の入力にすると、最後にまとめて直す手戻りが減ります。
提出できるかを4項目で判定する
たたき台ができても、そのまま提出はできません。完成度を感覚で判断せず、次の4項目で提出可否を判定します。一つでも欠けたら、その部分をChatGPTか人が直してから再判定します。
- 顧客固有性
- 別の会社にそのまま出しても通じる一般論になっていないか。この顧客の課題・言葉・状況が反映されているか
- 根拠
- 数字・事例・競合情報に出典があるか。ChatGPTが生成した数値をそのまま載せていないか
- 実行可能性
- 費用・担当・期限・制約が矛盾なくそろっているか。相手が実行をイメージできるか
- 次の行動
- 相手に何を、いつまでに決めてほしいかが明記されているか
この4項目でよく見つかる失敗が次の4つです。提出前に必ず確認します。
ひとつ目は架空の数字。「導入企業の多くが成果を実感」といった、出典のない数値や割合が本文に混じります。ふたつ目は顧客の言葉が消える現象。整形の過程で、相手が商談で口にした具体的な言葉が一般的な言い回しに置き換わります。三つ目は機能一覧で終わること。自社サービスの説明ばかりで、相手の課題がどう解決するかが書かれていません。四つ目はプレースホルダーの残存。「〇〇株式会社様」のような差し込み用の記号が消し忘れられます。
効果を測るときは、作成時間だけを見ないようにします。時短は分かりやすい指標ですが、それだけだと質を落として速く作る動きを助けてしまいます。作成時間に加えて、提出までの手戻り回数と、商談後に次のアクションが合意できた割合を、導入前後で記録します。3つを並べて見ると、速くなったのか、質も保てているのかが分かります。
ここまでを自社の営業全体に広げると、提案書以外の業務でもChatGPTをどこまで任せてよいかが気になり始めます。自社の現在地は診断で確認できます。
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