プレゼン資料をAIで作る方法|提案に使える5ステップ
AIを使えば、見栄えのよいプレゼン資料は短時間で作れます。しかし、テーマだけを入力して一括生成すると、どの顧客にも当てはまる提案になりがちです。営業資料で重要なのは、デザインより先に「誰の、どの課題を、何を根拠に解決するか」を決めること。本記事では、顧客情報を8項目に整理し、構成案、スライド、レビューへ進む5ステップを解説します。AIに任せる工程と人が判断する工程も明確にします。
- 01AIは「速く形にする」担当、人は「顧客に合わせて通す」担当。工程を分け、各工程にAIを挟む。
- 02指示の前に「提案入力シート」8項目を埋める。埋まらない欄はAIに推測させず「要確認」で残す。
- 03作る順序は「中身を固めてから見た目」。章立て→1枚1メッセージ→デザインの5ステップで進める。
- 04完成後は顧客適合・論理・根拠・次の行動・機密性の5項目でレビューしてから提出する。
プレゼン資料はAIで速く作れる。ただし提案の判断は人が担う
生成AIを使えば、テーマを入力するだけで見栄えのよいプレゼン資料が数分で出てきます。表紙、章立て、図解のレイアウトまで、たたき台であればAIのほうが速い領域です。資料作成にAIを取り入れること自体は、もう特別な話ではありません。
問題は、テーマだけを渡して一括生成した資料が、どの顧客に出しても通用する一般論で埋まりがちなことです。営業のプレゼン資料で受注を左右するのは、デザインの美しさではなく「誰の、どの課題を、何を根拠に解決するのか」という提案の中身です。ここはAIが決められません。顧客固有の事情も、約束できる成果も、AIは知らないからです。
だからこの記事では「一括生成して完成」を目指しません。工程を分け、AIに任せる部分と人が判断する部分を切り分けて、各工程にAIを挟みます。下の表が、その分担の全体像です。
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| 工程 | AIに任せる | 人が決める |
|---|---|---|
| 情報整理 | 断片メモの分類・言い換え | どの顧客課題を主題に置くか |
| 構成初稿 | 章立て・ページ割りの案出し | 提案の順序と優先順位 |
| 表現 | 文章の要約・トーン調整・図解案 | 数値根拠と固有名詞の正しさ |
| 仕上げ | レイアウト・配色の候補 | 約束できる成果と次の行動 |
この線引きを持たないまま生成AIに丸投げすると、きれいだが刺さらない資料が量産されます。
AIに指示する前に「提案入力シート」を埋める
質の低い資料は、たいていAIの性能ではなく、渡した情報の薄さが原因です。AIに指示を出す前に、次の8項目を自分の言葉で埋めてください。これが「提案入力シート」です。
- 相手
- 会社名・部署・意思決定者の役割
- 目的
- この資料で相手に何を決めてほしいのか
- 現状
- 相手が置かれている状態(数値や事実で)
- 課題仮説
- 相手のどこが問題だと見立てているか
- 根拠
- その仮説を支える事実・データ・発言
- 提案
- 具体的に何をするのか
- 期待効果
- 提案を実行すると相手にどんな変化が起きるか
- 次の行動
- この資料の後、相手に取ってほしいこと
このシートが埋まっていれば、AIの出力は一気に具体的になります。逆に、埋まらない欄があるまま生成すると、AIは空欄をもっともらしい一般論で補います。それが「刺さらない資料」の正体です。
現状や根拠が分からない欄は、空欄のまま「要確認」と明記してください。AIに埋めさせると、事実のように見える推測が本文に紛れ込み、商談の場で崩れます。分からないことは、生成する前に顧客に聞くか、社内で確認する。この順序を崩さないことが、提案資料では最も重要です。
プレゼン資料をAIで作る5ステップ
提案入力シートが埋まったら、次の5ステップで作ります。共通する考え方は「中身を固めてから、見た目を作る」。順序を逆にすると、きれいなだけの資料を何度も作り直すことになります。
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STEP01
入力情報を整理する
提案入力シートの8項目を、AIに渡せる箇条書きに整える。ここはまだスライドにしません。
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STEP02
章立てだけ生成する(構成案)
シートを渡し、ページの見出しと順序だけをAIに出させる。デザインには触れない。人が順序と優先順位を直す。
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STEP03
1枚1メッセージに分解する
各ページに「伝える結論を1つ」割り当てる。1枚に主張を詰め込ませない。
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STEP04
図表・デザインを生成する
ここで初めてスライド生成ツールに構成を渡し、レイアウトと図解案を作らせる。
-
STEP05
事実と顧客適合を人が確認する
数値・固有名詞・引用を元資料に照らし、相手の課題に合っているかを判定する。
汎用の生成AIで①〜③の中身を固め、④の見た目をスライド生成ツールに任せる、という連携が現実的です。文章設計とデザイン生成は、得意なツールが違います。
構成案を作るプロンプトと出力の直し方
②の章立て生成では、次のプロンプトに提案入力シートを差し込んで使ってください。そのままコピーして使えます。
あなたは法人営業の提案書作成を支援するアシスタントです。
以下の入力情報をもとに、提案書の構成案を作ってください。
# 入力情報
相手:(提案入力シートの内容を貼る)
目的:
現状:
課題仮説:
根拠:
提案:
期待効果:
次の行動:
# 出力形式
各ページについて、次の5点を表で出してください。
- 見出し
- そのページで伝える結論(1文)
- 結論を支える根拠
- 推奨する図表
- 話す内容のメモ
抽象的な言葉は使わず、入力情報にある事実だけを根拠にしてください。
入力情報にない数値や事例は、勝手に補わないでください。
出力が悪いときは、作り直す前に「どこが悪いか」を指定して再指示します。よくある3つの失敗と、その直し方は次のとおりです。
「効率化」「最適化」ばかりのとき→「各ページの結論を、入力情報の具体的な数値や事実に置き換えて」と指示する。
「根拠が書けないページは削除するか、要確認と明記して」と指示する。事実で埋めさせない。
「機能ではなく、相手にどんな変化が起きるかで書き直して」と指示する。
再指示のたびに入力情報へ立ち返らせるのがコツです。AIが勝手に情報を足そうとしたら、必ず止めてください。
完成した提案書を5項目でレビューする
生成した資料は、そのまま提出しません。次の5項目で、1ページずつ○か要修正かを判定します。
- 顧客適合
- その提案は、この顧客の課題に当たっているか。他社にも出せる一般論になっていないか。
- 論理
- 現状→課題→提案→効果の流れが、飛躍なくつながっているか。
- 根拠
- 数値・固有名詞・引用元が、自社で裏取りできているか。AIの出力をそのまま根拠にしていないか。
- 次の行動
- 資料の最後に、相手がすべき行動が書かれているか。
- 機密性
- 外部の生成AIに入れてはいけない情報が、本文や履歴に残っていないか。
数値・固有名詞・引用・画像の権利は、AIの画面ではなく元の資料まで戻って確かめます。生成AIは事実と誤りを同じ自信で出力するため、AI出力を根拠として扱うと、商談の場で足をすくわれます。
導入効果を測るときは、作成時間の短縮だけを見ないでください。「修正回数が減ったか」「同じ雛形を次の提案でも再利用できたか」まで見ると、資料作成のAI活用が本当に定着したかが分かります。
資料作成だけでなく、記録・メール・リサーチ・提案設計まで、AIを活かせる余地は会社ごとに違います。7つの質問に答えるだけで営業部のAI活用度をA〜Cで判定。登録なしでその場で結果が見られます。
資料作成AIツールは3つの条件で絞る
ツールは無料か有料かのランキングで選ぶより、営業提案での運用に耐えるかで絞ると失敗しません。見るべき条件は次の3つです。
- 既存形式への出力・編集
- PowerPointやGoogleスライドで開いて手直しできるか。相手に渡す形式に落とせるか。
- 機密情報の扱い
- 入力した内容がAIの学習に使われないか。法人向けの契約設定があるか。
- 日本語とテンプレートへの適合
- 日本語の体裁が崩れないか。自社のロゴや配色を反映できるか。
そのうえで、ツールは大きく3種類に分けて考えると向き不向きが整理できます。
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| 種類 | 得意なこと | 向く場面 |
|---|---|---|
| 汎用の生成AI | 文章設計・構成初稿・言い換え | 提案の中身を固める工程 |
| PowerPoint連携型 | 既存資料の清書・編集 | 会社の雛形に合わせて仕上げる |
| スライド生成特化型 | 見栄えのよいレイアウト自動生成 | 短時間でたたき台を作る |
1つで全部やろうとせず、中身は汎用AI、見た目は生成ツール、と役割で使い分けるのが現実的です。