商談・育成

Web会議の議事録をAIで作る方法|確認・共有の手順

Web会議の議事録は、AIで文字起こしと要約を自動化できます。ただし、生成された文章をそのまま共有すると、決定事項の取り違えや担当・期限の抜けが起こりかねません。本記事では、録音前の同意からAIによる下書き、人の確認、社内保存、顧客共有までを一つの流れで解説します。製品の多さではなく「決定・未決・行動・担当期限・根拠発言」の5点を正確に残せるかで選ぶ方法も示します。

この記事の結論 5点
  • 01AIは録音・文字起こし・要約まで担えるが、出力は「下書き」。決定事項は主催者が音声と照らして確定する。
  • 02文字起こし・要約・議事録は別物。業務で使うのは、担当と期限まで追える議事録。
  • 03商談議事録は「決定・未決・次の行動・担当と期限・根拠発言時刻」の5項目でそろえる。
  • 04社内保存版と顧客共有版を分ける。社内メモを付けたまま顧客へ送らない。
  • 05ツールは宣伝の精度でなく、決定事項の正確性・担当期限の抽出率・共有までの時間で選ぶ。

Web会議の議事録はAIで下書きし、人が確定する

Web会議の議事録は、AIで下書きまで自動化できます。録音した音声を文字起こしし、要約し、決まったことや次にやることを抜き出すところまでは、いまのツールで十分に任せられます。営業担当者が会議のあとに一から書き起こす必要は、もうありません。

1.6時間
AI要約の利用者が、1週間あたりの会議後フォロー作業で削減した平均時間
※Zoom「AI Companion ROI」調査(利用者688人)
57%
AI要約の導入で、会議後の作業時間が減った割合(約2時間→45分)
※Zoom導入事例(couch + cork社・単一企業)
63.1%
議事録を含む文書作成に生成AIを使っている割合
※コーレ「生成AI利用実態調査」2026年1月(生成AI導入企業の管理職1,008人)

ただし、AIが出した文章を、そのまま正式な議事録として共有してはいけません。AIの出力は「下書き」であって「確定記録」ではないからです。要約は流れの中で細部を落としますし、聞き取れなかった固有名詞や金額を、もっともらしい別の言葉で埋めることもあります。決定事項が一つずれるだけで、あとの商談や社内調整が狂います。

そこで、役割をはっきり分けます。AIが下書きを作り、会議の主催者が音声と照らして確定する。この線引きが、AI議事録を安全に使うための土台です。

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工程担当やること
録音・文字起こしAI音声をテキスト化し、話者を分ける
要約・タスク抽出AI決定事項・次の行動の下書きを作る
事実確認・確定人(主催者)音声と照合し、誤りを直して確定する
共有・保存社内版・顧客共有版に分けて配る

AIに任せる工程と人が担う工程を分けておけば、「AIが作ったから正しいはず」という思い込みで誤った記録が流れるのを防げます。商談の記録をどう営業活動に生かすかは、商談でAIを活用する方法でも整理しています。

文字起こし・要約・議事録は目的が違う

「議事録を作る」と言うとき、実は三つの別物が混ざっています。ここを分けないまま「AIで議事録」と考えると、必要な情報が抜けたり、逆に不要な情報まで顧客に送ってしまったりします。

文字起こし(逐語記録)
話した言葉をそのまま文字にしたもの。証跡としては正確だが、長すぎて読めない
要約
話の要点を短くまとめたもの。読みやすい代わりに、決定事項や担当が曖昧になりがち
議事録
決まったこと・やること・担当・期限を、あとから追える形で残したもの。業務で使うのはこれ

AIは文字起こしと要約が得意ですが、そのままでは「業務で使える議事録」にはなりません。要約に、担当と期限と根拠を足して初めて議事録になります。

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種類主な用途落とし穴
文字起こし証跡・後からの検索長大で、そのままでは読めない
要約会議内容の把握決定・担当・期限が抜けやすい
議事録次の行動につなげる作るのに手間がかかる(ここをAIで縮める)

もう一つ大事なのが、社内保存版と顧客共有版を分けることです。商談の議事録には、社内メモ(相手の予算感の推測、競合の状況、値引きの余地など)が混ざります。これを付けたまま顧客に送ると、事故になります。

注意 | 顧客へ送る前に社内メモを外す

商談議事録には「先方は予算が厳しそう」「競合はA社が有力」といった社内向けの推測が入ります。顧客共有版は、決定事項・次の行動・担当・期限だけに絞り、社内メモを必ず落としてから送ります。AIに「顧客共有用に、社内向けの推測を除いて整形して」と指示すると、この作業も下書きまで任せられます。

Web会議から議事録を完成させる5ステップ

実際の流れを、録音の前から共有まで5段階で示します。Zoom・Microsoft Teams・Google Meet のいずれでも、考え方は同じです。

  1. STEP01

    録音の同意と設定

    会議の冒頭もしくは会議前に録音することを伝え、同意を得ます。各サービスの録音機能を使うか、外部のAI議事録サービスを連携させるかを、事前に決めておきます。

  2. STEP02

    会議中の録音・文字起こし

    録音しながら、リアルタイムまたは会議後に文字起こしします。話者を分ける機能(話者分離)があると、誰の発言かが残り、あとの確認が楽になります。

  3. STEP03

    AIで要約・タスク抽出

    文字起こしをAIに渡し、決定事項・次の行動・担当・期限の下書きを作らせます。このとき使うプロンプトは、次章のフォーマットに沿わせます。

  4. STEP04

    主催者が音声と照らして確定する

    ここが省けない工程です。AIの下書きのうち、金額・日付・固有名詞・決定事項は、該当する発言時刻に戻って音声を聞き直し、正しいか確かめます。曖昧な要約は、この段階で直します。

  5. STEP05

    保存・共有・SFA反映

    確定した議事録を、社内版として保存し、顧客共有版を作って送ります。案件に紐づけてSFA/CRMに残すと、次の商談準備でそのまま使えます。

注意 | 「あとで確認」は確認されない

STEP4を「時間があるときに」と後回しにすると、たいてい確認されないまま記録が流れます。会議終了後の10〜15分を、その場で確定する時間として先に押さえておきます。

ツールの選択肢は大きく二つです。Web会議サービス標準の要約機能(Zoom・Teams・Meet が備える)を使うか、専用のAI議事録サービスを連携させるか。標準機能は追加費用なく始められ、専用サービスは話者分離や日本語精度、SFA連携で勝る傾向があります。まず標準機能で試し、物足りなければ専用サービスを検討する順番が、失敗が少ない進め方です。

商談議事録は5項目をそろえると次につながる

商談の議事録で最も大切なのは、読みやすさではなく「次の行動につながるか」です。そのために、次の5項目を必須欄にします。これが、この記事の核になる商談議事録の5点確認フォーマットです。

①決定事項
この商談で確定したこと(例:見積もりを来週提出する)
②未決事項
持ち帰り・保留になったこと(例:導入時期は先方社内で調整中)
③次の行動
具体的に何をするか(例:導入事例を3件送る)
④担当と期限
誰が、いつまでに(例:営業担当・田中、7月31日まで)
⑤根拠となる発言時刻
その決定の元になった発言が、録音の何分何秒か

⑤の発言時刻を残すのが、この5点フォーマットの肝です。あとで「本当にそう決まったか」を争う場面で、該当箇所の音声にすぐ戻れます。AIの要約が疑わしいときも、時刻があれば数十秒で裏が取れます。

要約を作らせるプロンプトは、この5項目を指定します。

次の文字起こしから、商談議事録を作ってください。
以下の5項目に分けて出力し、推測は「要確認」と明記してください。
1. 決定事項
2. 未決事項
3. 次の行動
4. 担当と期限(発言になければ「未定」)
5. 各項目の根拠となる発言時刻(mm:ss)
確認できない固有名詞・金額は、勝手に補わず「要確認」としてください。

出力の良し悪しは、次の違いで見分けます。

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良い出力要確認の出力
7/31までに田中が見積提出(根拠 12:40)見積もりを近日中に提出(担当・期限・時刻がない)
金額を「要確認」と正直に空けている聞き取れない金額をそれらしく埋めている
未決事項を分けて書いている決定と未決が混ざっている

担当や期限が「未定」と出るのは、悪い出力ではありません。むしろ、会議中にそこが詰まっていなかったサインなので、主催者がその場でフォローする材料になります。

ツールは精度の宣伝より実データで試して選ぶ

AI議事録ツールは数が多く、各社が「日本語精度が高い」「文字起こし99%」とうたいます。ですが、宣伝の精度は自社の会議で再現するとは限りません。専門用語や社名の多い商談では、数字が大きく落ちることもあります。カタログの精度ではなく、自社の実データで試して選ぶのが確実です。

比較するときは、次の観点を見ます。

  • Web会議サービス(Zoom・Teams・Meet)と連携できるか
  • 日本語と、自社の固有名詞・専門用語の精度は十分か
  • 話者分離ができるか
  • 録音の通知・同意取得の機能があるか
  • 音声とテキストの保存先はどこか、AIの学習に使われないか
  • 閲覧・編集の権限を設定できるか
  • SFA/CRMと連携できるか、料金は無料枠で足りるか

そして、精度そのものではなく、業務成果で判定する試行スコアカードを使います。1チームで2週間試し、導入前と後で次の3つを測ります。

決定事項の正確性
確定した議事録のうち、音声と照らして誤りがなかった割合
担当・期限の抽出率
決まった行動のうち、担当と期限まで埋まった割合
共有までの時間
会議終了から、確定した議事録を共有するまでの時間

文字起こしが何%正確か、より、「決まったことが正しく、担当と期限まで残り、早く共有できるか」のほうが、営業成果に直結します。この3つが導入前より改善していれば、全社に広げる判断ができます。

自社の営業がAIをどこから使うべきか、全体像から整理したい場合は、営業のAI活用とはもあわせて読んでください。議事録づくりを含む効率化の進め方は、営業効率化の方法で扱っています。

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誤要約・情報漏えい・定着失敗を防ぐ運用ルール

AI議事録は、使い方を決めずに始めると、かえってトラブルの元になります。よくある失敗を4つ挙げ、回避策とセットで押さえます。

失敗1 | 顧客の同意なく録音する

相手に断りなく録音すると、信頼を損ないます。会議冒頭で録音を伝え、同意を得るのを標準の手順にします。同意が得られない場合は、録音せず手元メモで対応します。

失敗2 | 機密会議までAIに通す

未公開の価格や個人情報を含む会議を、外部サービスへそのまま流してはいけません。AIに渡してよい会議の範囲と、渡さない会議を、あらかじめ社内で線引きします。

失敗3 | 誤った決定事項が確認されずに流れる

AIの要約を誰も確認しないと、間違った決定がそのまま記録に残ります。確認担当(原則は主催者)を必ず決め、確定前の議事録は「下書き」と明記します。

失敗4 | 保存先が乱立して探せない

各自がバラバラに保存すると、あとで議事録が見つかりません。保存先・命名ルール・削除期限を決め、案件単位でSFA/CRMに紐づけます。

責任の所在も、あらかじめ表にしておきます。誰が何に責任を持つかが曖昧だと、失敗3のような「確認されないまま流れる」事故が起きます。

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役割責任範囲
AI文字起こし・要約・タスク抽出の下書き(確定はしない)
主催者音声との照合、決定事項の確定、顧客共有版の作成
管理者利用してよい会議の範囲、保存先・権限・削除期限の設定

この分担を決めておけば、AIの出力をそのまま信じることも、確認されないまま記録が流れることも防げます。運用ルールのないAI活用は、効率より先に信用を損ないます。

よくある質問

Zoom・Microsoft Teams・Google MeetだけでAI議事録を作れますか?
はい、各サービスの標準機能で録音・文字起こし・要約まで作れます。追加費用なく始められるのが利点です。ただし、話者分離の精度やSFA連携は専用サービスに劣る場合があるため、まず標準機能で試し、物足りなければ専用サービスを検討するのがよいです。
無料で使えるAI議事録ツールはありますか?
無料枠を持つツールはあります。ただし、月あたりの利用時間や保存期間、話者分離の有無に制限があることが多いです。無料枠で自社の会議データを試し、決定事項の正確性や担当・期限の抽出率を確かめてから、有料化を判断してください。
Web会議を録音するとき、参加者の同意は必要ですか?
必要です。会議の冒頭で録音する旨を伝え、同意を得るのを標準の手順にしてください。とくに顧客との商談では、断りなく録音すると信頼を損ないます。同意が得られない場合は、録音せず手元でメモを取る運用に切り替えます。
AIが作った議事録はそのまま顧客へ送ってもよいですか?
そのまま送るのは避けてください。AIの要約には誤りや、社内向けの推測が混ざることがあります。主催者が音声と照らして決定事項を確定し、社内メモを除いた顧客共有版を作ってから送ります。
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